千華図鑑 なかほどに  金沢から日帰りの距離に咲く花

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サカキとシキミ

2007.01.19付

2007.05.09付
日本経済新聞「春秋」欄の記事を
追記としてこの頁の最下段に掲載してあります

 万葉集の花、植物に、トッカカッテみて納得したのが、石川県内の慣習と、植物の生産と流通との関連です。
 石川県内の、神道と仏教の慣習の一部と、サカキシキミの県内の分布の話です。

 先ずサカキについて納得した事。

 神様に供える植物にサカキ「榊」があります。
 神様の領域と人間の領域の境に、境木すなわちサカキを供えたのが語源とも言われています。

 神棚の前の榊立にサカキを入れて供えますが、金沢周辺では、この榊にヒサカキを使います。
 花屋さんへ行ってサカキを求めると、ヒサカキを渡してくれます。
 参考書に依ると、サカキの自生地は関東以南の温暖な地域となっています。

 千華図鑑を始める前までは、当たり前のことですが、サカキでアルと年寄りから教えられた木の枝はサカキであり、そのことを疑ってもみませんでした。
 春の山に入り、サカキと教えられている木の枝に咲いた花をサカキの花としてデジカメで撮り、イザ図鑑で調べると、コレがヒサカキの花の雄花でした。

 ならば、本物のサカキは何処に生えてオルガヤロと、山の中を尋ね歩きましたが、中々サカキにぶつかりません。
 ぶつからないのも無理はありません。県内の加賀地方にはホトンド自生は無いのです。福井との海岸寄りの県境と、羽咋、七尾周辺と、その以北の能登地方にしか自生してイナイのです。
 石川県林業試験場 Webサイトに備えてある、便利な、樹木の「かんたん検索」を利用して、県内の分布をチェックすると一目瞭然です。
http://www.pref.ishikawa.jp/ringyo/

 この事は、昔々、南から流れて来ている対馬暖流に、これも暖かい地方産のサカキの木の種か、実か、苗か、が乗って来て、先ず、県境近くに在る福井県三国の東尋坊や、石川県塩屋の暖地性植物の原生林「鹿島の森」辺りに引っ掛かって上陸し、残りはマタモヤ対馬暖流に乗って北上して、当時はオソラク海水が大量に出入りしていたと推測される羽咋と七尾間の邑知潟地溝帯に再上陸したものと、密かに、大胆に、素人判断をしています。

 そんな訳で、当然、県内では自生が僅少で、トテモ、各家庭の神棚に供える程の生産量、供給量は望めません。
 花屋さんも困りますので、リリーフかピンチヒッターか知りませんが、昔からヒサカキがサカキの代用品とされて来たのです。これなら供給量に心配はいりません。県内の山にチョット入れば何処にでも生えています。

 さて、サカキと万葉集との関連の話でした。

 そもそも万葉集に出て来るサカキは、ヒサカキではなくてサカキです。
 何とナラバ、アヲニヨシ奈良の都は北陸の石川県より南にあり、気温も比較して暖かくサカキが自生しています。
 また神武天皇の先祖が祀られている宮崎県は、もっと温暖な地域です。

 榊、栄樹、賢木、境木、等々例に依って幾つか当て字を使って、お供えしてありますが、北陸地方のヤオヨロズの神様達は、ヒサカキのことを、多分、今でもサカキと思っておられる事と思います。

 ただこの頃の、多くの花屋さんの店頭にあるサカキは、中国で栽培された輸入品だそうです。
 こうなると、サカキの自生地だの、ヒサカキの生育地域に密着した供給と流通だのと、言ってはおられなくなって来ます。
 イズレその内、日本全国に中国産のサカキが行き渡るでしょう。
 日本古来の土着信仰の神道も、思わぬところで、国際化の波に洗われツツあります。ボーダーレス化は時の流れです。
 連綿と受け継がれて来た、伝統、慣習などヨリは、生産コスト、流通コストが、何にもまして最優先されます。

 次に、万葉集の花、植物、石川県内の慣習と、植物の生産と流通との関連として、仏様へ話を移します
 仏教のお葬式の慣習の話です。

 シキミについて納得した事。

 シキミは、葉、小枝に良い香りがして、粉末を線香、抹香に入れます。
 昔からシキミの香りが邪気を祓うとされ、大昔には神事にも使われたと言います。シキミの実は猛毒ですから、悪しき実が語源とも言われています。

 新仏様を棺桶に入れる前に枕経をあげますが、その時金沢では、三具足、又は五具足の花立にシキミの小枝を入れて供えます。

 関西や中京のお葬式には、親類縁者、友人、知人から、提供者の名札の下がった、シキミを大きな束にしたお供えが届けられ、斎場の全面にズラリと並べられます。(その他の地域、宗派の慣習は知りません))

 石川県のお葬式に、関西や中京の様なお供えの慣習がありません。
 替わりに葬儀用の花輪が届けられ、関西や中京と同じように、斎場の前に並べられます。生の花では無く造花です。提供者の名札には黒い縁取りがされています。
 ただ、なにしろ造花ですから、そんなに古くからある慣習とは思えません。

 何故、シキミでは無くて造花の花輪なのか、以前から疑問に思っていたのですが、上述のサカキの自生地を調べていて、ヒラメキしました。
 サカキと同じ理由からでしょう。

 石川県内のシキミの自生地が限られているのです。
 サカキの場合以上に、羽咋にある邑知潟地溝帯を境にクッキリと自生地の線が引けます。県内では、邑知潟地溝帯の北側の能登方面にしか存在しません。

 サカキの場合には、福井との県境近くにも自生地が
存在しましたが、シキミの自生地は加賀地方にマッタクありません。
 是非、先程の石川県林業試験場 Webサイトの、樹木の「かんたん検索」を利用して、県内のシキミの分布をご確認ください。
http://www.pref.ishikawa.jp/ringyo/

 シキミを大きな束にして、仏前に供える程の生産量が、石川県に無いのです。流通する訳がありません。

 シキミも、サカキと同様に、対馬暖流に乗って昔の邑知潟に漂い着いたのでしょう。ただ、サカキと違って、シキミは東北地方以南に自生するとなっていますので、サカキよりも寒さに強いと考えます。

 石川県内の慣習の一部分として、神様、仏様にお供えする植物二種、サカキとシキミが、期せずして県内では自生が僅かで、供給量が少なく、市場に出回る事がアマリ出来無かったのです。

 素朴な疑問が残りました。
 造花が造られる前は、親類縁者、友人、知人の方々は、一体、何をお供えしていたのヤロカ・・・。

 この「なかほどに」Part2は、ナニシロ、密かな、大胆な、素人判断であり、記載内容の責任は負いかねますノデ、文章の取り扱いにはクレグレもご注意いただきたいと思います。

追記2007.05.09付 日本経済新聞「春秋」欄の記事
 安倍晋三首相が靖国神社の春季例大祭にあわせて奉納したのは真榊。神事に用いるツバキ科の常緑広葉樹サカキは、日本の温暖な山野に自生し、これから夏にかけて、白い花が芳香を放つ。関東以北では、サカキの代わりによく似たヒサカキを使ってきた。
 その両者とも今や中国で栽培され、枝を伐り日本に輸出している。安倍首相が奉納したのは鉢植えなので日本国内産だと思われるが、玉ぐしなどに使う切り枝には中国産も多いという。鎮守の森や屋敷林がやせ細り、神棚に供えるサカキも手に入りにくいこのごろ、定期的に国産サカキを宅配するビジネスもある。
 万葉集や古今和歌集では、サカキは榊ではなく賢木(サカキ)という字を当てている。特定の樹種を指すのではなく、勢いの盛んな常緑広葉の栄樹(サカキ)たちを、シキミやタブの木などを含めて様々な神事に使い分けた。神が降りる「よりしろ」、神と人間の境界にある境木(サカキ)を語源とする説も有力だ。
 日本では植物の名前に、似て非なるものには「イヌ」を、小さくて可憐なものには「ヒメ」を付けて呼ぶことが多い。当然、ヒサカキは姫榊から来たとする見方もある。しかし、榊にあらず=非榊という無粋なまでに単純な説明の前に、姫説は分が悪い。この手の話、複雑に過ぎず、単純な方が説得力を持つ。


 最後にお願いです。
Do・素人の「千華図鑑」の中で、名前等々の間違いが多々あると思います。また名前を名付けようにも判らないものも多くあります。
 
名無しのゴンベイ・身元確認お願いです。
 どうかそれらをご存知の方々からのご教示を頂ければ幸甚です。お願いいたします。

 誤りのご指摘やご教示は、恐れ入りますがメ−ル下さいませ。


 
早速、感謝して訂正し、メ−ル文に「お名前のイニシャル」を添えて、頁に掲載いたします。